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最高裁判所第一小法廷 昭和57年(行ツ)108号 判決 1985年4月18日

広島県大竹市港町二丁目七番五号

上告人

小島露

広島県佐伯郡廿日町桜尾二丁目一番二六号

被上告人

廿日市税務署長

秋山和美

右指定代理人

立花宣男

右当事者間の広島高等裁判所昭和五四年(行コ)第四号物品税等賦課決定処分取消請求事件について、同裁判所が昭和五七年四月二六日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があつた。よつて、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係及びその説示に照らし、正当として是認することができ、その過程の違法はない。論旨は、違憲をいう部分を含め、ひつきよう、原審の専権に属する事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立つて原判決の違法をいうものにすぎず、採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高島益郎 裁判官 谷口正孝 裁判官 和田誠一 裁判官 角田禮次郎 裁判官 矢口洪一)

(昭和五七年(行ツ)第一〇八号 上告人 小島露)

上告人の上告理由

原判決の判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背及び採証法則の違背がある。その理由は項を追つて記載する。

一、原判決文に於いて本件製品を物品税法別表十三-3「家具類の中のいす、腰掛」であると判定しているがふれは違法である。

その理由

(一) 物品税法基本通達課税物品の取扱(13)-21(以下課税物品取扱(13)-21と称す)

長いすとは通常二人以上が並んで使用するとして取引されるものをいうこと、とある。

これを解するには「長いすとは通常二人以上が並んで使用する」とは、六十キロの人が二人以上、要するに百二十キロ以上の重さに耐えられればよいというのではない。

猫足の弱点は一審に於いて見本写真をもつて立証済みである。

陳述書一-(二)-<イ><ロ><ハ><ニ><ホ>に述べた通り最低重さの五倍以上の強度がなければいすとしての機能をもたない。

テレビ実験に於いて新聞六枚の四方を固定しその上に一人の大人を乗せ移動してみせた。

小生は十枚あれば六十キロの人物に耐えられる事を実証する事が出来る。

又握りこぶしを振り落すだけで簡単に破ることが出来る。

これは後期分に対する不服審判所にも実証してみせた。

橋をかけた場合一台のトラツクが通過出来れば橋としての機能があるというのではない。

結局いすとは重さ(単に重力)に耐えられれば、良いのではなく前後左右からの圧力や長期間の使用に耐えられる機能がなくてはならない。

次に「いすとして取引されるものをいう」とはその製品があくまでもいすでなければならない。

いすとは一時的に上からの重さに耐えられるものではなく、大人の最低五倍以上に耐えうる強度を必要とし、座にすわる事を目的としたものである。

この条件をもつて取引されるものでなければならないと解するのが相当である。

(二) 物品税法基本通達課税物品の取扱に関する通則第一条(以下取扱通則第一条と称す)

課税物品表に掲げる物品に該当するかどうかは他の法令による名称及び取引上の呼称等にかかわらず当該物品の性状、機能及び用途等を総合して判定するとある。

本件製品を判定する場合形だけでをもつて判定するのではなく右に記載された様に課税物品の判定は性状・機能・用途等を総合して判定するべきものである。

二、(一) 第一審(理由)二-(一)によれば目的・用途に対し小生の製品は撮影用の小道具でありポーズを付ける以外には使用されず又、機能・性能に就いても猫足並びにロクロ足の弱点、安楽性(座つて撮影する場合が全体の位はあるが、これはポーズを付ける為であり安楽性の為に座るのではない。)にも劣る等を認めて用いるにも拘ず特に六十キロの重さに耐えられるだけで機能ありと認めている如きは誠に幼稚的解釈であり課税物品取扱(13)-21並びに取扱通則第一条の定義に反する。第一審判決文(理由)二-(一)の解釈からすると強度と安楽性があれば家具類のいすに概当する事になる。そうすると診療及び理髪用のいす(物品税法別表十三-3の非課税覧(二))はそれぞれ金属性で骨組みが出来ており強度は充分である。

又客の疲労を軽減する為安楽性には最大限の考慮がしてある。

従つて右の製品は当然課税物品に概当する筈であるが現実には非課税である。

要するにこの例一つをみても取扱通則第一条にのつとり課税物品に該当するか否かは強度とか安楽性とかという一面だけをもつて判定するのではなく主旨なり目的なり全てを総合的にみて判定された例であり本件製品もこれに順応するのが相当である。

(二) 第一審判決文(理由)二-(二)に於いて物品税施行令に「家具類」の定義を定めるものがなきと述べているが課税物品取扱(13)-21に「家具類の中の長いす」の定義は明確に定められており見当の余地は全くない。

第一審判決文(理由)二-(二)に「前者については特殊な構造を後者については特殊な性状等」だけにより判定しているが取扱通則第一条に「機能・性状・用途等を総合して判定する。」とあり機能・性状・用途等を別々に考えることは地裁判決別紙(二)-<1><2>を除いては違法である。

(三) 第一審判決文(理由)二-(三)に就いても(二)に述べた通り総合して判定されておらず課税物品取扱(13)-21並びに取扱通則第一条に反する。

由に本件製品は家具類の中の椅子ではない。

(四) 第一審判決文(理由)二-(四)に於いて本件製品は物品税法第一章第二条一項一号にも概当せず又、同条二号にも概当せず中間的存在である。

そのどちらに概当するのかを決定する為に課税物品取扱(13)-21並びに取扱通則第一条があるのでありこの法令を考慮した上で本件製品が非課税物品である事は明明白白である。

にも拘ず第一、二審共・法律的根拠のない判決を下し非課税覧に掲載されていないという理由だけで本件製品を課税物品であると判定するのは片手落ちである。

小生の調べた処では自動車学校の教習用の車は非課税覧に掲載されていないにも拘ず非課税物品である。

又第一審判決文(理由)二-(四)に「一般消費者の生活及び産業経済に及ぼす影響を考慮して……」とあるが本件製品に課税しなければ大きく国家社会の妨げとなるのなら、どうして昭和五十六年の税制改正時点に於いて課税覧に掲載されなかつたか。

本件製品は裁判問題にまでなり又、同業者(白百合工芸)も不服申立てをしたとの事、以上の事を考慮しても三者を併せても一人役にも達しない本件製品が社会的に重要視されていない事は明白である。

三、第一審判決文(理由)三、四、に就いて本件製品が非課税物品である以上無申告加算税又延滞料までも加算する事は明らかに違法である。

しかし昭和四十九年六月分の七千円は被告の意に相違ない。

五年間に逆上つて課税し、その上無申告加算税・延滞税迄も課す事は滞納者に対して課す過怠税である。廿税は小生が撮影用小道具を製作している事を昭和四十六年時点で明らかに知つており本件製品が家具類の「いす、腰掛け」に該当するのであればこの時点で納税の告知を小生にしなければならない義務がある。

撮影用小道具が課税覧に掲載されているのであれば課税物品であると知る事が出来たかもしれないが「家具類のいす、腰掛」に該当するか否か昭和五十年八月二十二日迄全く知るよしもない。

このような小生に過怠税たるものを課す事は小生を脱税者とみなしており、民法第七二三条「名誉毀損罪」に該当するものである。

また善良なる国民に五年間も逆上つて徴収した金額は生活費の為の金銭であり生活が逼迫する事は明らかであり生活権の侵害である。

これは憲法第二五条に違背するものである。

四、第一審判決文別紙(二)-<3>の製品が小生の製作した製品ではない。

これは康本写真館が白百合工芸の製作した製品を小生のものと誤つたものである。

これは民法第九五条「錯誤」に該当し、康本氏の意思表示は無効である。

別紙(二)-<3>の製品が小生の製品として他に取引がない事からも明らかである。

製作方法に於いても一般の製品は足を基準に製作しており取替える事がで来る。

つまり猫足は折れやすい為このような作りをしているのである。

別紙(二)-<1><2>も同様である。

又、第二審提出乙第四号証の七に依ると別紙(二)-<3>の製品は取引代金三八、〇〇〇円と記載されておりこの製品は物品税法施行令別表十三、家具類3の課税最低限金額覧(二)のイ、ロ、いずれにも該当しない、別紙(二)-<1>も同様である。

五、第一、二審判決文共に物品税の本質からして違法である。

我国では物品税は奢侈品、娯楽用品的な性格をもつ特定消費財の消費に予想される担税力に着目して課税される(現代用語の基礎知識専修大学教授鵜飼信成)とある。

具体的なものは陳述書二-(二)-<一><二><三><四><五><六>に述べた通りであり<七>については昭和五十六年五月改正されたものの、後ろの座席を取り外したり、固定したりすれば非課税として取扱う事も出来る。

又、小生の調べた処によれば自動車学校の教習用の自動車は免税になつている。

本件製品は右記の件を総合しても非課税物品であると判定するのが相当である。

六、(一) 第二審判決文(理由)の序文に地裁の判決の引用であると記載されているので、理由は第一審に対する理由の通りである。

(二) 第二審判決文(理由)二、に於いては課税物品取扱(13)-21、取扱通則第一条、並びに理由書一-(一)-<4>に述べた通りで法令上の根拠を有するものでなく、採用出来ないとされているのは明らかに違法である。

(三) 第二審判決文(理由)三、に就いて、以上記載した理由を以つて原判決は不当である。

七、三十数年間此の道一筋に生きる事は容易な事ではない。

それには、写真館の生命力である被写体と小道具、ビツクに対する光の研究等の小道具に対してのポーズの付け方、製作技術、及び移り行く流行(デザイン)小道具の中に取り入れ、赤ちやんの百日目(宮参り)、結婚、還暦、喜寿、人生の終着までのデザインを取り入れなければならないのである。

小生の称する撮影用小道具とは、このようなものであり他者のように家具製造者(いす、腰掛)が一時的に製造したるようなものものではない。

本件製品を非課税にしても大きく国家の財源となり他の機関に影響を及ぼすものではない。撮影所の様に大きく自力のある者にはには課税が免がれる個人経営の写真館の製品が課税されるのは法の如何を問わず社会通念上許されるべきではない。

以上いずれの論点よりするも原判決は違法であり破棄さるべきものである。

追告

第二審判決文理由の二に於いて物品税法施行令六条及び物品税法九条は小生の製品には該当しないものであると述べているが物品税法第二条の一項二号の定義に於いて「非課税物品とは別表に掲げる物品をいう。」と規定しており、小生の製品(撮影用小道具)はどこにも掲載されておらず何ら課税物品たる根拠はない。又課税物品取扱(13)-21及び取扱通則第一条に於いても本件製品が非課税物品であるのは当然である。

以上

(添付書類省略)

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